「27歳 フリーター 女」と調べて出てくるのは、「女性は結婚や出産があるから早めに動いたほうがいい」という話ばかりではないでしょうか。
その話が的外れだとは言いません。ただ、それを読んで焦ったところで、明日何をすればいいのかは分からないままです。
この記事は、「急げ」とは言いません。代わりに、焦りの正体を分解して、今夜できる大きさの一歩まで整理します。なお、ここでは正社員として就職することを前提に話を進めますが、そうしない選択が間違いだとは考えていません。
進め方は3つです。まず、重なっている不安を仕分けます。次に、なぜ「早めに」と言われるのか、採用側の計算を種明かしします。最後に、最初の一歩の選び方をお渡しします。
「27歳・フリーター・女性」——3つが重なると、なぜ「やばい」と言われるのか
ここまで調べる中で、同じような話を何度も見てきたと思います。この記事では、それをもう一度並べて脅すことはしません。一度だけ仕分けて、この話を終わりにします。
まず、いま重なっているものを、3つに分けて名前をつけます。
ひとつ目は、就職の期限です。未経験から採用される枠は、年齢が上がるにつれて狭くなっていきます。これは事実です。ないとは言いません。
ふたつ目は、収入の差です。正社員と、それ以外の雇用形態とでは、収入の水準に差があり、しかもその差は年齢が上がるほど開いていく形になっています。これも事実です。ただ、この差はあなたの27年間につけられた値段ではありません。「いま、どちらの働き方をしているか」で決まっている差であって、働き方が変われば、乗るカーブも変わります。
そして3つ目が、周囲との比較です。同級生の結婚、出産、昇進——そうした知らせが、いくつも目に入ってくる時期に差しかかっています。
ここで、ひとつ切り離しておきます。最初の2つには期限がありますが、3つ目には期限がありません。他人の速度は、あなたの締切ではないからです。
同じ場所で立ち止まっている人は、ほかにもいます。Yahoo!知恵袋には、このままずっとフリーターでいられるのか不安になって就職を考え始めたものの、何から手をつけたらいいのか分からない、という27歳の相談が投稿されています(2022年)。やりたいことが見つからない、向いている仕事が分からない——「動かなきゃ」と「動き方が分からない」が、同時に居座っている状態です。
次に、煽りの側を仕分けます。
「27歳フリーターの女性はやばい」「早めに動かないと詰む」——こうした書かれ方は、事実の記述ではありません。読んだ人をいま動かしたい書き手の構文です。
もうひとつ、射程を広げておきます。調べる中で、いまの働き方の理由を、あなたの性格の側に求める書かれ方や、収入の多寡を、人間関係における価値に結びつける書かれ方に、出会ったかもしれません。あれは、あなたを見て書かれたものではありません。誰か特定の人の27年間を調べたうえで書かれた文章ではなく、読者一般に向けて用意されたひな型です。
この記事は、あなたがなぜ27年をそう過ごしたのかを推定しません。それは面接官の仕事ですらありません。
こうして仕分けてみると、対処が必要なのは最初の2つだけです。そして2つとも、実は同じひとつの仕組みから来ています。
なぜ「女性は早めに」と言われるのか——採用側の計算と、聞いてはいけない質問
前の章の最後に、2つの不安は同じ仕組みから来ていると書きました。その仕組みから見ていきます。
未経験者を採用する求人は、「いまできること」ではなく「これからできるようになること」にお金を出す、投資型の採用です。企業は給料を払いながら仕事を教え、数年かけて戦力になってもらい、その後の働きで教育にかけた分を回収する——その設計で動いています。
この計算では、長く働いてもらえる見込みが立つほど、投資は回収しやすくなります。だから未経験の枠は若い側に広く取られ、30歳前後を境に、「伸びへの投資」から「経験のある即戦力」へと、求人の前提が入れ替わっていきます。収入のカーブに差がつくのも、根は同じです。教育を受けて任される仕事が増えていく前提の働き方と、そうでない働き方とでは、時間が経つほど分かれていきます。
つまり、年齢で区切られそうになるのは、あなたの27年間が否定されているからではありません。企業側の電卓の都合です。念のため添えると、企業が冷たいという話でもありません。教育にかけた分を回収できなければ、次の未経験者を採る余力がなくなる。どの会社も、その計算の上で枠を用意しています。
そして、ここが大事なところです。この計算自体には、性別は入っていません。入っているように見えるのは、次の話が混ざっているからです。
ここまで調べる中で、「女性は結婚や出産があるから早めに」という話を、何度も見てきたはずです。あれが何の話なのかを、ここで片付けます。
応募者のライフプランを気にする採用担当者がいるのは、事実です。ただしこれは、先ほどの投資回収の計算とは別のもの——担当者個人の予想です。制度上の根拠があるものではありません。
だから、この懸念に対して、あなたが完璧な答えを用意しておく必要はありません。用意しておくべきなのは、答えではなく、聞かれたときの扱い方です。
というのも、その質問は、そもそも聞くべきでないものとされているからです。
厚生労働省は「公正な採用選考の基本」の中で、応募者の適性・能力に関係のない事項——本人に責任のない事項(家族に関すること、生活環境・家庭環境など)や、本来自由であるべき事項——を応募用紙に書かせたり、面接で尋ねたりすることは、就職差別につながるおそれがあるとしています。あわせて厚生労働省は、男女雇用機会均等法にもとづく採用選考のルールとして、子どもが生まれた場合に働き続ける意思があるかどうかを女性にだけ質問することを、男女で異なる取扱いにあたる例として挙げています。
つまり、面接で結婚や出産の予定を聞かれたとしたら、準備不足なのはあなたではなく、聞いた側です。
そのうえで、この知識の使い方を3つお渡しします。
ひとつ。答えたくなければ、答えなくてかまいません。「今は仕事に集中したいと考えています」で切り上げても、失礼にはあたりません。
ふたつ。ただし、その場で指摘したり、抗議したりすることはおすすめしません。知っておくことと、その場で言うことは別です。この知識は、答えなくていいと自分に許可を出すために使ってください。
みっつ。その質問が出たこと自体が、その会社を見極める材料になります。面接は、あなたが審査されるだけの場ではありません。どうしても気になるときは、ハローワークや都道府県の労働局に、相談できる窓口があります。
あなたが背負わされていた前提の半分は、実はあなたの問題ではありませんでした。残りの半分——実際に最初にぶつかる壁の話をします。
実際につまずくのは書類選考——職歴が「ない」「薄い」と感じている人へ
これから先で実際につまずきやすい場所を、先にお伝えしておきます。多くの場合、それは面接ではなく、その手前の書類選考です。
求人サイトを開いて、「未経験歓迎」の求人を見つけて、応募ボタンの手前で手が止まる。職務経歴書のフォーマットをダウンロードしてみたものの、空欄を前に「書けることがない」と感じて、そっと閉じる——この場面に、心当たりはないでしょうか。
私も派遣で働いていた頃、細切れの経歴を職務経歴書にどう書けばいいのか分からず、同じ場所で固まった経験があります。年単位で働いてきたはずなのに、「派遣社員として勤務」という一行にまとめた途端、やってきたことが紙の上では急に薄く見えてしまう。立場は違えど、非正規の経歴が「紙の上で薄く見える」壁は、同じだと感じています。
発言小町にも、ハローワークには行ったものの何を基準に仕事を探せばいいのか分からない、という27歳・職歴なしの方からの投稿があります(2012年)。仕事を選んでいる場合ではないと思いながらも、「前に進むことができていません」と書かれています。
ここで、前の章と同じ切り離しをしておきます。
アルバイトの経験がある場合と、職歴と呼べるものが空白の場合とでは、書類の見え方は変わります。ですが、どちらも同じです。書類選考は、あなたの27年間の中身を値踏みする審査ではありません。「求人票が求めている形式に、経歴の形式が合っているか」を短時間で確かめる工程です。前の章の言い方をそのまま使えば、これも電卓の都合の側にある話で、通らなかったことがあなたの価値の判定になることはありません。
そのうえで、道は2つあります。
ひとつは、書類を磨いて正面から突破する道です。何をどう書けば伝わるかは、書き方の技術で確実に変わります。添削を受けられる場所もあります。時間はかかりますが、王道です。
もうひとつは、そもそも書類選考のない仕組みを使う道です。書類ではなく、企業と直接顔を合わせる集団面接会の形式で選考が始まるサービスがあります。形式の審査を飛ばして、対面で話した印象から見てもらう入口です。詳しくは、次の章でお話しします。
どちらの道もあります。大事なのは、書類の前で止まっている時間を、どちらかに進む時間に変えることです。
焦りを行動に変える、最初の一歩の選び方
「就職活動を始める」を一歩だと思うと、足は上がりません。あれは一歩ではなく、階段まるごとです。求人を探し、書類を作り、応募し、面接の準備をして——と続く数十段をひとまとめに「一歩」と呼んでいるから、跨げない。動けないのは意志が弱いからではなく、一歩の設定が大きすぎるだけです。ここでも、あなたのせいだけとは限りません。
この記事のはじめに引いた「何から手をつけたらいいのか分からない」という感覚も、おそらくここから来ています。手をつける先が見えないのではなく、最初の一段が高すぎるのです。
前の章で引用した発言小町の投稿には、続きがあります。この方は数日後、やはり動くしかないと思ってハローワークに相談してきた、と書き添えていました。まだ動き始めたばかりだ、とも。やったのは、階段をのぼりきることではありません。一段だけを切り出して、そこに足を置いたことです。
そこでこの章では、階段を分解して、またぎやすい高さの一歩を3つ並べます。選ぶのは、ひとつだけでかまいません。
一歩A:バイト経歴の棚卸しを、ノートに書き出す
一人で、無料でできて、誰にも報告しなくていい一歩です。これまで何のアルバイトで、何をして、何を任されてきたか。時期と一緒に、思い出せる順に書き出すだけです。
今は、きれいにまとめる必要はありません。文章にしなくていいですし、辞めた理由も要りません。「何をしていたか」だけで十分です。
これを軽い準備運動だと思わないでください。前の章の「紙の上で薄く見える」問題の正体は、書く材料がないことではなく、材料が掘り出されていないことがほとんどです。実際に手を動かすと、「書けることがない」と思っていた人ほど、案外出てきます。
そしてこの棚卸しは、この先どの道に進んでも無駄になりません。書類を作るなら、そのまま下書きになります。就職支援の面談を受けるなら、聞かれることの半分はここに書いてあります。つまり、話す準備が半分終わった状態で行けるということです。
一歩B:就職支援サービスの無料面談を、1回だけ受けてみる
前の章で触れた「書類選考のない集団面接会型」の代表例が、JAIC就職カレッジ(ジェイック)です。公式サイトによると、書類選考なしで最大20社と集団面接ができ、面談から就職支援の講座までが無料で、正社員未経験からの就職支援を専門としているとされています。前の章で書いた「書類の形式に合うかどうか」の審査を、そもそも通らない入口です。
先に、その先にあるものをお伝えしておきます。面談のあとには、5日間の研修があります。そこまで進むかどうかは、面談で話を聞いてから決めれば大丈夫です。働き方や生活の事情によっては、5日間という長さそのものが判断材料になるはずなので、あとから知るより、先に知っておいてください。
そのうえで。「一度話を聞いたら、断りにくくなるのでは」と身構える方もいると思います。はっきりさせておくと、面談は申込ではありません。話を聞いて、合わないと感じたら、断って大丈夫です。断っても、失うものはありません。つまりこの一歩は、失敗のしようがありません。
JAIC就職カレッジ(ジェイック)については、「やばい」と言われる理由まで含めて検証した記事があります。合う・合わないを自分で判断したい方は、先にこちらを。
逆に、もう十分に調べたという方は、こちらから直接どうぞ。
フリーター・既卒・未経験から正社員へ!無料就職支援【JAIC就職カレッジ】対象は18〜35歳で、勤務希望地が関東・東海・近畿・九州の12都府県の方です(詳細は公式サイトで)。
一歩C:書類を作り込んで、求人に応募する
従来の「就職活動の最初の一歩」は、これでした。ですがこの記事では、あえて順番を変えます。応募は、3歩目くらいでかまいません。一歩Aで材料を掘り出し、必要なら一歩Bで情報を得てから書類に向かうほうが、同じ書類でも中身が変わります。この道そのものは王道で、否定する理由はどこにもありません。ただ、最初に置くには一歩が大きすぎる——それだけのことです。
どの一歩でもかまいません。ただ、今夜できる大きさの一歩を、ひとつだけ決めて終わりましょう。
まとめ——27歳は「手遅れ」ではなく「選べる最後の余裕」
この記事で整理してきたことは、3つです。
重なっていた不安は3つあり、期限があるのはそのうち2つだけでした。年齢で区切られるのは企業側の投資の計算によるもので、ライフイベントの話は、そこに混ざった別の話です。そして面接でそれを聞かれたとしたら、準備不足なのは聞いた側です。
3つ目の不安——比較のほうにも、もう一度だけ触れておきます。他人の速度は、最後まであなたの締切にはなりません。期限があるように見えていただけで、あれは最初から締切ではありませんでした。
「余裕がある」は、「まだ動かなくていい」ではありません。余裕とは、選択肢が残っている状態のことです。そして選択肢は、使わないまま置いておくと、静かに減っていきます。
大きな決断は要りません。今夜できる大きさの一歩を、A・B・Cからひとつだけ決めて、この記事を閉じてください。
年齢そのものへの不安をもう少し整理したい方は、こちらもどうぞ。
関連記事:27歳フリーターは本当に「やばい」のか?——焦る前に整理したい3つのこと
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